この子らを救わん 愛の「おぎゃー献金」物語

しかし母親はそんな他人の思惑を一切気にかけません。他の人と同じように映画や芝居を子どもと 一緒に槻て、 また帰宅の途につきます。その顔には子どもたちの重みを受けとめて少しもくじけない 、 たじろがない強 さと明るさとがみなぎっていました。 三人の我が子をしっかりと抱いて帰るその姿 みて、私は本当に感動しました。そして思 っ たので す。「これが本当の、真の母親なのだ」と。 世に母性愛の強さはくどいほどいわれます。 1 1 焼野の雉子夜の鶴 I I とことわざにいわれ るように 、 母雉子が、我が身の焼ける もかまわずヒナを守り、寒い夜、鶴はつばさで子を温める話 などが 強い 母性愛の象徴としてよく引 き合いに出されますが 、 その点 、肝 腎の人間の母親の中には 、 雉子や鶴に も値しない親がいるのもまた事実です 。 コイソロ ッ カーに我が子を投 げ込んだり 、あるいはまたせ っか んの度が過 ぎて 死に至 らしめてしま ったり、こ の雉子と鶴にも及ばない母のことは枚挙にいとまのないのが証拠といえましょう 。そ れを 考えると、障害児を育てる困難な時代に あって 、しかも経済的に も肉 体的に も苦 しい中をひたす ら明 る<強く生きてきたこの 親こそ 強い母性愛の見本と いっ てもよいのではないでしょうか 。 幸せ薄い星の下に生まれて きてしまった三 人 の姉妹にとっ ては、この母があ ったからこそ生きられ た、ということになります。私 も当時 、 この三人姉妹と大してちがわない年齢の娘を六人持っていま した。その娘たち この三人姉妹と を考えるとき 、いつ も母性愛 (私にとっては父性愛なの ですが ) 20

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