この子らを救わん 愛の「おぎゃー献金」物語

松下博士による現病歴は右 の通りでした。 私が問診したのも同じでした。母体の妊娠前半は悪阻症 状、また妊娠後期は中毒症状 も共になく 、妊娠は順調に経過したようです 。医 師 の手もかりるこ とな く 、 自宅で助産婦の介助 による正 常分娩 でした。体重も三キログ ラムで異常 な し、赤ちゃんに現われ る黄疸も生理的なもので、約一週間で消退してい ます。 もちろん 、 二人の間に生まれた初 めての赤ちゃんです から 、 この子の生育を中心に毎日が明け暮れ ていく、楽しみの日々だったと想像されます 。子どもを 育てる親というものは、同じ頃に生まれたよ その子の発育とわが子 を 比較しがちです 。したがって 、わが子がどこかおかしいと 気付くのは 、きま 一ってその子の母親です 。 生後三か月経って も 、赤ち ゃんの手足がなんとなく硬いようだし 、物 を顔に 近づけ も、そ 目がものを追う素振 りがない 、 よく そり返る 、五、六か月経っても、 首が座らな い 、 這い這いすらできそうでない•… •• O 一年経過す る頃に 、同 じ頃に生まれたよその子どもと 比較しますと 、 どこかおかしいと 気 付き、母 はヒステリー気味にな って騒ぎ 出し、医師の 診断を求め 、心 落ちつかない 日が続 きました。名医が い ると聞かされては、そこを探し歩きます。医師の診断は、きまったように「手足は不自由ですが、年 齢を重ねていくうちに だんだん成長し 、 よくなっていきますよ」との通り一遍の返事だけでした 。 そうしている間に、一年ほど経ってやっと頸座がでぎるようになり、寝返りや、座ることや、立っ て歩 くことも 、他 の子どもと 比較するとずっと遅いけれど、だんだんと それらの行動ができるように 24

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